歴
史小ネタ：日本刀の「白紙」の謎 日本刀は世界的に有名で、刀身に書かれた銘（めい）も注目されるところですが、その中でも特に「白紙（はくし）」という文字を見ると、価値が高いとされています。しかし、この「白紙」という言葉がどのように使われるようになったのか、その謎に迫っていきます。 「白紙」という言葉が使われるようになったのは、江戸時代中期からです。江戸時代に入ってから、日本刀の鍛造技術が向上し、美しく優れた刀が多く作られるようになりました。その中でも、特に高品質な刀は、鍛造時に刃文（はもん）を付けなかったものに「白紙」という文字を刻みます。白紙の刀は、鍛造技術の高さや刃文が無いことによる美しさが評価され、その価値は高くなりました。 しかし、実際には白紙の刀でも、鍛造技術が低かったり、欠陥があったりする場合もあります。そのため、江戸時代以降、刀剣商や鑑定家らは、白紙の刀でも鑑定を十分に行い、品質の高いものだけを高価で売り買いするようになりました。 また、現代でも白紙の文字がある日本刀は、刃文があるものに比べて、価値が高いとされています。しかし、白紙の文字があるというだけで、必ずしも高品質な刀というわけではありません。また、白紙の文字が無いものでも、鍛造技術の高さや美しさ、歴史的価値などから高く評価される場合もあります。 こうして見てくると、日本刀の「白紙」には、「高品質」ではなく「刃文が無い」ことが評価された歴史的背景があることがわかります。しかし、現代はそうした背景を知る人が少なくなりつつあり、ただ「白紙」という文字があるだけで、高品質な刀と思い込んでしまうこともあるかもしれません。日本刀の魅力にどっぷり浸かるためには、その深い歴史や文化にも興味を持つことが大切ですね。